慰謝料の調査について

 上記の「慰謝料はいくらになりますか?」で、裁判官の判断で慰謝料が数百万円も異なる場合があると述べました。

 それは、関西大学の小田八重子教授が大阪地裁(32名)、大阪高裁(14名)、大阪家裁(7名)の裁判官に対しておこなった慰謝料額のアンケート結果に接したからです(小田八重子執筆「離婚給付額の裁判基準 裁判官に対するアンケート調査の結果報告」『家事事件の現況と課題』判例タイムズ社、2006年3月31日発行)。

 たとえば、次の事例で、各裁判官は慰謝料をいくらだと判断したでしょうか?
「夫35歳会社員年収600万円。妻33歳無職。長男3歳。二男2歳。婚姻期間10年。夫婦の資産は預金等1000万円。夫の暴力と女性関係から婚姻破綻。妻から離婚請求。夫は、妻が子どもを引き取ることを認め、養育費として子ども1人3万円あてを送金することを約している。」(同書30頁)

 400万円代   なし
 500万円代   3名
 600万円代   4名
 700万円代   9名
 800万円代  18名
 900万円代   7名
1000万円代  10名
次の級       2名

 このように、800万円代に集中していますが、やはり数百万円の誤差は生じています。

 それから、裁判官が判断する慰謝料額についてですが、「実務では、古くから慰謝料の額につき、裁判官が各場合における諸般の事情を斟酌し、自由心証をもって量定すべきものであって、その認定根拠を示す必要はない(とし)(大判明43・4・5民録16-273、大判昭7・7・8民集11-1525も同旨)、」(中野貞一郎外二名編『新民事訴訟法講義(第2版)』345頁、有斐閣発行。現在は第2版補訂版が刊行されています。)と解されています。